リンパ腫

　治療方法は、血液のがんですので、手術ではなく化学治療あるいは放射線治療が適応されます。血液中のガン細胞を抗がん剤でたたいて、放射線で死滅させる方法が治療としてもっとも効果があります。化学治療には副作用がともないますが、放射線治療の場合、照射時間も5分以内で終了するため、精神的にも楽なようです。

　悪性リンパ腫の中で日本人に最も多いのが「び慢性大細胞性B細胞性リンパ腫」です。び慢性というのは、病変の広がり方で、広い範囲に、境目がはっきりしない形で広がることです。かぎられた場所にだけ病変があるという限局性の反対の言葉です。これの主な治療方法はR-CHOP療法というものが確立されています。

　R-CHOP治療とはリッキサンという免疫治療を前日に先行投与後、3種類の抗がん剤シクロフォスファミド、アドリアシン、オンコビンを点滴、同時にステロイド剤のプレドニンを経口投与します。上記のリンパ腫は、がんの進行が速い反面、治療による感受性がよく、寛解の期待が大きいのが特徴です。

　進行速度の遅く低悪性のリンパ腫は、一般的に抗がん剤に対する感受性がよくないのが特徴です。その場合には、フルダラ、リッキサン併用療法とゼヴァリンによるRI標識抗体療法が確立しています。フルダラ、リッキサン併用療法やゼヴァリンの治療対象となる悪性リンパ腫は、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫と、マントル細胞リンパ腫があります。マントル細胞リンパ腫は、低悪性度と中悪性度の中間に位置する特殊なリンパ腫で、もっとも治りにくいリンパ腫といわれています。