リンパ腫

　悪性リンパ腫は猫にも発症し、実際には猫のガンで一番多いのがこの悪性リンパ腫です。発症すれば、わずか1～2か月で死に至るケースが少なくありません。様々な部位で発症しますが、際立って目立つのが胸とお腹の中です。リンパ腫の種類として、最も多くみられる猫のが、消化管のリンパ腫です。症状は嘔吐、下痢、食欲低下体重の減少が起こります。次に多いのが腎臓に発症するものです。こうした場合、腎不全と同様の症状が認められます。

　若い猫と高齢期の猫でも症状が違います。若い猫の場合、胸のあたりに大きなしこりのようなものができ、胸水がたまって、息をするのが苦しそうになります。これを見逃してしまうとリンパ腫が悪化する前に、胸水による肺の圧迫により、呼吸困難に陥り、死に至ります。高齢期の猫の場合、腸管自体に大きなしこりが発生し、慢性的な嘔吐や下痢、体重の減少が起こります。放置しておくと、腸管が壊死していき腹膜炎を起こし、急死することもあります。

　原因の多くは猫白血病ウイルスといわれており、このウイルスがリンパ腫を引き起こすことが明らかになっています。生後間もない子猫の場合、免疫力も体力もないため死んでしまうことが多く、2～3歳程度で免疫力が強くても、体内に潜伏している状態が続けば、次第に免疫力が低下し、リンパ腫が発症しやすくなります。6歳以上の高齢の猫であれば、老化による免疫低下が引き金となります。

　治療方法としては、人間と同様にいくつかの抗がん剤併用による化学医療が有効とされています。予防はワクチンの接種、しかしワクチンによる予防は不十分です。猫白血病ウイルスは唾液による感染も起こるため、多頭飼いや放し飼いを避けるなど生活環境を整えることも重要となってきます。